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伊東市移住定住サイト

写真 小関 雅彦さん 百合子さん

世話好きな人が多い土地柄。
思い切って地域に飛び込めば
周囲はサポーターだらけです。

小関 雅彦さん(52歳)
イタリア料理「レガーロ テッラ」オーナーシェフ。2006年に家族とともに移住。伊豆の食材に魅せられ、富戸に自らの店を構えた。
妻・百合子さん(51歳)
店で使う野菜を自家菜園を栽培している。以前から家庭菜園に興味があり、伊東市に移住して畑での野菜づくりを始めた。

市内のレストランで10年勤務した後、独立・開業した小関雅彦さん。その決断に背中を押したのは、伊東の豊かな自然と食材。そして、この環境をどこよりも気に入り自家菜園を営む奥さまの百合子さんでした。

移住は、家族みんなが望んだことでした

小関さんはご家族で移住されましたが、当時はどのような思いがありましたか?

雅彦さん 前職場の「伊豆高原ミッシェルガーデンコート」開業に伴って移住しました。その前は埼玉県に住んでいましたが、伊豆には毎年のように遊びに来ていました。家族とは「仕事とはいえ伊東に住むのもいいよね」と話していました。

百合子さん 私は初めから賛成でした。ただ、子どもは当時小学2年生と4年生。学校も楽しく、友達と離れてしまうのが嫌だったようですが、やがて長男から「みんなで伊東に行こうよ」と言ってくれました。引っ越しした後は、仕事をしたい気持ちはありましたが、子どもが落ち着くまで1年半程は専業主婦でいました。マンションの同じ学年の子どもがいる人とも交流ができたので、すぐにこちらの生活に慣れました。私も海が好きなので、夏休みは子どもと毎日のように海水浴に出かけたりして、楽しかったですね。

雅彦さん 私は職場に行けば顔見知りばかりですが、妻や子どもは、移住によって一から人間関係を築かなければならなかった。だから住む場所は、子どもの学校のことを優先的に考えて、小学校の周囲に住宅地があるかを確認してまわりました。子どもが通いやすい学区で、買い物にも便利で住みやすい南小学校の近くにマンションを借りました。

伊東に来たら、念願の家庭菜園ができる!と思いました

レストランで使う野菜は
自家菜園で作られているそうですね。

雅彦さん 実はね、妻の方が畑や野菜に対する思いが強かったんですよ。

百合子さん 実家にいた頃は庭で、結婚してからはマンションのベランダで少しですが野菜づくりをしていました。子どもにできるだけ無農薬の野菜を食べさせたかったので。伊東に来たら一軒家を借りて畑をやろうと思っていたのですが、マンションに入居したので、できなかったんです(笑)。でも、移住して2年目くらいかな、市民農園を展開する「NPO法人郷組」に参加したんです。5、6年活動しましたが、どんどん面白くなってきて、休みの日は一日中畑にいたこともありました。

地元の人との交流があって、店も軌道に乗りました

2016年に「レガーロ テッラ」を開業されました。なぜ伊東で店を持とうと思ったのですか?

雅彦さん もちろん、埼玉や東京での開業も可能性はありましたが、人も建物も密集している土地での食事は、環境的にどうなのかと思うようになっていました。初めは4、5年くらいで埼玉に帰ろうと思っていたんですよ。でも、伊東は住むのにとてもいい環境で、相模湾の魚、地元野菜、天城の鶏、伊豆の鹿など、目の前にある土地の食材が美味しい。食材探しに出かけることで、いろいろな人とも繋がりも築けていました。
移住から7、8年経った頃に自分の家を建てたいと考え始めたんです。それで、海が見えて畑ができるスペースがある土地を、伊豆エリア全域で探しましたが、結局は「灯台もと暗し」。富戸に土地を購入し、店舗兼住宅を建てました。

百合子さん ゆくゆくは店を開きたいね、という話はしていたんです。どちらかというと、私の方が埼玉に戻りたくないと思っていたので、畑があって、海が見えるところに住みたいという願いを叶えてもらった感じですね。

開業して、地域の人たちの反応はいかがでしたか?

雅彦さん 独立後は、前職での繋がりのお客さんも来てくれました。すでに10年程住んでいたので、知り合いが増えていたこともあるのですが、もともとお客さんの9割は地元の人。そうした人たちの存在が心強かったですね。本当に、周囲の人には助けられっぱなしです。

百合子さん この地域には首都圏から移住してきた人も多いのですが、自然が好きで畑をやったり鶏を飼ったりしている人がたくさんいます。私たちより5年くらい前から住んでいる人が近くの農家さんと仲良くしていて、私たちもその繋がりで農家さんに野菜をいただいたりすることもよくあります。人の縁によって受け入れられている感じが、すごくしますね。最近も、忙しくて手を付けられなかったヤギの小屋を、近所の方がぱぱっと作ってくれました。

伊東市への移住、また、この地で開業を考える方にアドバイスをお願いします。

雅彦さん 私は、飲食店は環境も大事だと考えているんです。「景色もごちそう」という言葉がありますが、これは本当だなと、ここにいると強く感じます。地元の人には日常の景色でも、他の地域から来た人には非日常の景色になる。私たちもテラスで海を眺めながら食事をしたり、コーヒー飲んだりするだけで、リフレッシュできる。本当にいい環境がここにはあります。土地が広いので、大きな店を持つこともできますね。地域のコミュニティに溶け込んだ店づくりも楽しいですよ。

百合子さん 都会だと、目の前に道とビルと人しかいないけど、ここは、海はもちろん、森で囲まれているようなロケーションがあります。飲食店を開くのなら、ぜひこの土地ならではの景色と食材を生かした店づくりをしてもらいたいなと思いますね。
伊豆高原地区は別荘があって、都市部から来ている人が多く、衣食住いろいろな面で、お客さんの感度の高さは東京とあまり変わらない気がするんです。だから、東京で営業している人がこちらで開業しても、すんなり受け入れてもらえると思います。

自分の得意分野でサポートしてくれる人が、まわりにたくさんいます

伊東に住んでみて気づいた魅力を教えてください。

雅彦さん やっぱり、水、空気、食材が美味しいことですね。実は、今注目している食材に「アイランドルビー」という伊東産のトマトがあります。収穫期は6月から8月。ほとんど地元でしか流通しないこれを、首都圏に紹介したい。このトマトの美味しさを知れば、伊東に足を運んでもらうきっかけになるんじゃないかと思うんです。
まだまだ知らない地元の食材を、これからもずっと追い求めていき、いいものは積極的に“伊東の魅力”として発信していきたいと考えています。
ヨーロッパではいい店ほど郊外にある。わかりづらい場所でも、良い店ならお客は絶対に足を運びます。私の店も、そんな存在にしたいですね。オーベルジュにも憧れはありますが、幸いにも近くの宿泊施設がディナーの送迎をしてくれるので、私は料理に専念できます。こうした連携ができるのも、大らかな伊東の気質かもしれませんね。

百合子さん 最近はコロナ禍で、あまり遠出もしないので、休日はほとんど畑仕事。ラデッキオやフェンネル、イタリアンパセリなど店で使うハーブを中心に栽培しています。そして、これから養蜂も始めるんです。お客さまの中に養蜂をやっている方がいて、「私も始めたいんです」と話したら、詳しい方を紹介していただき、ノウハウを教えてもらいました。蜂蜜の採取も手伝ってくださるそうで。
なにか新しくやりたいことを周囲に話すと、必ず誰かしらが教えてくれたり手伝ってくれるんです。この地域の人は、一度懐に飛び込むと、みなさん、すごくよくしてくれるんです。私は、そんな人の温かさにも魅力を感じます。

雅彦さん 伊東にはね、スーパーマンがいるんですよ。好き勝手やってるように見えるんだけど(笑)
、知識も技術も経験もたくさん持っている人たちが。そういう人は、惜しげもなく私たちに手を貸してくれるんです。私もこれから移住する人の、何かの力になりたいですね。

ある一日のスケジュール

8:00
奥さんが国産小麦を使ったパンを焼きはじめる
8:30
ランチの下準備
11:00
ランチ営業。2、3時間かけてゆったり食事を楽しむお客さまが多い
15:00
ランチ営業終了後、食事をとる
16:00
夜の準備。奥さまは畑仕事に
18:00
ディナー営業は完全予約制。
予約がない日は、源泉掛け流しの近くの富戸温泉へ
22:00
営業終了。片付けの後、晩酌をしながらのんびり過ごす
24:00
就寝

休日は近隣の低山登山に出かけたり。
お出かけ先は必ず温泉に立ち寄る。
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